プロローグ

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ガツガツガツ――― 靴の底がアスファルトの地面を蹴り、音が響く。 俺の名前は三剣テンメイ(みつるぎ てんめい)。 普通の高校二年生だ。 今俺がいる場所は、何年も前に使われなくなった廃ビル。 時々俺はここに来る。 嫌な事があったとき、ここの屋上から街を見渡せば気分が晴れる。 廃ビルに入り、目の前にある錆びた鉄の階段をゆっくり登った。 じめじめした湿気が、額を汗で湿らせる。 屋上についた俺は、真ん中で大の字になった。 涼しい風が身体を包む。 あまりの心地よさに、しばし眠ってしまった。 起きたのは、6時を少し過ぎたころだった。 空が黒く染まり始めていた。 俺は急いで階段を降りた。 廃ビルからでると、屋上にいたときよりも更に空は黒くなっていた。
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