7人が本棚に入れています
本棚に追加
「寒…」
あまりの寒さにうっかり口からこぼれ落ちた。
暗い道を注意深く見渡し、歩き出そうとしたときだった。
ビュオォォという風をきる音が急激に接近している事が理解できた。
俺はすぐに振り返った。
すると、そこには何かがいた。
急激に接近してきた何かだった。
一瞬のことでまばたきすらもできなかった。
ズガンッ―――!
強烈な相殺音が響く。
そして、俺を避けるように激しい風が吹いた。
俺の目の前には―――
―――女の子が立っていた。
さっきの風も俺を避けていたのではなく、その女の子が攻撃を相殺した時に溢れてきた風だということに気づいた。
だから、その子の後ろにいた俺には風が来なかった。
それだけだった。
最初のコメントを投稿しよう!