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「恭ちゃん…僕は、女の子じゃない」
絞り出すように呟いた
恭ちゃんは「え?」っと呟くと固まってしまった
否定されるのか受け入れてもらえるのかわからない
「東家は、代々女性が継いで行くんだ…」
自分の境遇を語り始めた
ココアは、とっくに冷めきってしまっている
双子だったけど、妹が生まれると同時に死んでいたこと
女の子として育てられたこと
「僕の名前は、東 ゆきなんかじゃない…由紀と書いて、東 ヨシキだ…。恭ちゃんにだけは、本当の名前を呼んでもらいたかった…」
全ては過去形だ…
僕には未来はない
「多分、変声期迎えたら…強制的に違う学校に転向させられると思う…恭ちゃんと過ごせる時間も、もう残されてないと思う」
全てを話した後、僕は喉の渇きを覚えココアに口をつけた
(甘い…)
恭ちゃんは、わなわなと震えている
「気持ち悪いよね…ごめんね。黙ってて…気持ち悪いよね…」
今まで、散々告白するかしないかで悩ん出来たけど、口にしてしまえば案外すっきりした
これで嫌われても、未練残すことなく転校できるだけだ
「男なのに、女の子の振りして騙すなんて気持ちわるいよね…」
恭ちゃんの顔がまともにみれない
(さよなら…僕の初恋の人…)
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