第1話

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それまでに、10人を超す女性と関係を持っていた俺は、見方によっては大人びて見えたらしいから、せつ子が勘違いしたのも無理は無い。 俺も、年上だと勘違いしてくれる事を期待して、1つ違いと答えたのだった。 せつ子は、性的には結構開発されていた。 当時=昭和40年代の半ばまでは、結婚までバージンでという風潮は色濃く残っていたし、事に地方では、例え経験のある女性であっても、初体験を装い、性に積極的な女性は、それだけで非難された時代だった。 せつ子も、その為か、昨夜までは、 『初めてなの……信じて』と、何度も言っていた。 絶頂の合間にも、喘ぎながら、呪文のように、切れ切れに、初めてなのってつぶやいていた。 俺は、その度に、 『信じてるよせつ子。お前は可愛いねぇ』と答えては、より情熱的に、せつ子の中で激しく動いては、抱きしめてやった。 今朝のせつ子は、もうそんな言葉は言わない。 ただ、何故か吹っ切ったかのような、安心したかのような落ち着きが感じられ、開発された女性の、仕込まれたテクニックを垣間見せて、キスの時も、激しく舌を絡ませてきたものだ。 せつ子は、ひたすらに咥えては舐め、舐めては含む。 俺はタバコに火を点け、それをゆったりとした気持ちで楽しんだ。 (当時は、タバコの害が言われる事も無く、社会人になったら、殆どの男はタバコを吸っていた。20歳という喫煙年齢よりも、社会人という立場が優先されている時代だったのだ。勿論、未成年の喫煙は、警察が知れば注意されたのは当然) タバコとせつ子の性技。 それを楽しんでから、タバコを消すと、俺はせつ子を仰向けにして、いきなり突き上げてやった。
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