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まだ新しい香りのする建物の中をカツンカツンとヒールの音が鳴り響く
何も話そうとしない女性の背中について、エレベーターに乗り込んだ
静けさの中、沈黙がやけに息苦しい
「………1015室よ」
女性はそう言うと、手に持っていた鍵を憂に手渡した
「……………え?」
訳もわからず、その鍵を受け取る
憂が鍵を受け取るのと同時に、エレベーターが指定の階数に到着した
「降りて」
高圧的な態度で女性はそう言うと、
憂がその部屋へと入るまで、エレベーター前で見届けている
………………
何の説明もなく、こんなところまで連れてこられて不安じゃないはずもない
ただ、晶の言っていた意味もわからないし、
危険ではないということもわかるが、
何せ足がすくむ
更にこの女性の態度もひっかかる
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