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(狙ってんじゃねぇか?)
そう疑いたくなるほどに…。
そんなことを考えているときに不意に美男子が彼の方へと振り返る。
美男子の名前は、水谷奏-ミズタニ ソウ-。
リクと同じ学生服を身に纏う彼だが、その雰囲気は別格のものだった。
短く切り揃えられた髪は彼の爽やかさを更に際立たせ、細く形のよい輪郭に目鼻立ちは、すっきりと通っている。身長も180程度で、姿勢も-内側から溢れ出る自信からか-良い。
「おい、どうした?そんな顔して」
彼の指摘にリクは自分の眉間に皺がよっていたことに気が付く。
その言葉に美少女も振り返ってリクを心配するように、声をかける。
「具合でも悪いの?大丈夫?」
眉をハの字にして、リクに視線を送る美少女の名は、霧谷 優奈-キリタニ ユウナ-。
女性用の学校指定の制服に身を包んだ彼女を一言で表すなら、可憐。身長こそ小さいものの顔の造形は整っており、大きな瞳は、彼女のかわいらしさを更に際立たせる。肩の高さ程度で切り揃えられた髪は、ゆるく内側にまかれており、くせ毛を思わせる。
「ん?なんでもないよ。」
苦笑いを浮かべ、リクは心配する声に答える。彼女らは心配そうに顔をしかめるが、苦笑いを浮かべるリクに対し、それ以上の言葉はかけず、前を向いて、止めていた足を進める。
(…普段、というか、他人の好意対してはとことん鈍いくせに、こういうときは本当に鋭いよなあ。
……嫌になるぐらい。)
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