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遥か遠くまで広がる樹海が見渡せる小高い丘―
そこに一人、いや一匹のウサギの少女が座っていた。
愛らしい顔立ちをしたとても可憐な少女だ。
透き通った真紅の瞳で真っ直ぐに森を見つめ、肩から少し長いくらいの金の髪を左右に編み込み、そしてその頭には白い毛の長いウサギの耳が伸びている。
爽やかな風が通り過ぎる。
彼女は此処から眺める風景がとてもお気に入りだ。
青い空の下に広がる、まさに海のように広がる緑の樹々…その青と緑のコントラストがとても美しく壮大な風景はいつ見ても清々しい気持ちになる。
そして、その木々の中に飛び抜けて巨大な一本の樹が聳え立つ―
その樹こそ、世界樹…唯一無二の御神木である。
そして彼女はその世界樹を、この森を守る守護役の戦士の一人だ。
守護役とは、四大精霊の力をそれぞれ受け継いだ四人の獣人がその役目を担ってきた。
この森では赤子が生まれたら世界樹の下に湧き出る泉で産湯を浸かせるのが習わしで、その際に四大精霊が守護役に相応しい赤子を選び力を授けると言う。
彼女も四大精霊の一つ『風』の力を受け継いだ。
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