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九は、怒りを露わにわなわなと震える拳を握り締め叫ぶ。
「泣きたいのはミー様の方だろう?朱(セキ)!!頼むから、昔の可愛いミー様の弟に戻ってくれ……」
は?
今、なんて言った??
誰が、誰の弟?
この美女が…………九の弟!!!?
俺はショックを隠しきれず、九と朱という名の美女だと思っていた人物を交互に眺めた。
朱は、ぷうっと頬を膨らませ子供のように拗ねる。
「やだ。この姿が、私の本来の姿なの。あと、その名前で呼ぶのやめてよ、くーちゃん!!私の名前は世里(セリ)でしょ?」
「え……本当に男?オカマさん?」
どうしよう。
先刻、朱の生足を見て思わずドキドキしてしまった……。
こんなに綺麗なのに、男だなんて――反則だろう。
げんなりと落ち込む俺に向かって、朱は人差し指を立て左右に揺らしながら、チッチッチーと舌打ちをする。
「違うわよ!!あなた、やっちゃんよね?そんな無粋な言い方やめて。私、オカマじゃないわ。清く正しいニューハーフよん♪」
やっちゃん……。
もしかしなくても、俺のことか?
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