FILE.3【九紅殺人事件1】

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 オカマとニューハーフの違いが今ひとつ分からず返答に困っていると、九が間に入り口を挟んだ。 「はぁ……ソーリー、鶴八七君。改めて紹介しよう。こいつはミー様の弟の朱だ。数年前に、歌舞伎町の二丁目で遊んでいて何かに目覚めてしまったらしい……今の名は世里という。こう見えても、ミー様の実家である大楽九願寺の現住職だ」 「やっちゃんのことは、くーちゃんから話を聞いたことがあったの♪会えて嬉しいわ。兄がお世話になってまーす。よろしくね」  ニコッと爽やかな笑みを浮かべながら、スッと透き通るように白い肌の手が、眼前に突き出される。 「……よろしく」  と、まだショックから立ち直れていない俺は、それだけ呟き手を握り返した。                                近くで見て触ってみると、よく分かる。  その手は、毛細血管が浮き上がりごつごつと角張った間違いなく男性の手だった。  どこかで見たことがあると感じたのは……九の弟だったからか。  自然と俺もため息が漏れる。 「それで、なんで来た世里?寺はどうした?住職が不在にしていいのか?ちゃんとミー様が納得するように説明しなさい」
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