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「だって……くーちゃんのドラキュラ姿見たかったんだもん。お寺は一日ぐらい休んでもワイチさんに留守番頼んだから平気よ。それよりも……くーちゃん!!ダディとマミーの形見のペアリングはどうしたのっ!!??大事にいつも身につけてるって言ったのに。つけてないじゃない!!」
朱は、また頬を風船みたいに膨らませ怒りながら、手の甲を九に向け自分のリングを見せた。
右手の薬指にはめられた、シルバーの派手な装飾指輪がきらりと光を反射して輝く。
「ほら!!私はつけているのにっ!!」
「え!!あ、いや、それが……ミー様も探しているんだが、どこかで失くしたらしくてな――」
九は本気で困り果てている様子で、怒るのも忘れ狼狽している。
そういえば、ここ数日事務所を漁り何か探している風だったが……その形見の指輪を探していたのか。
指輪は失くすと、なかなか見つからない。
そして忘れた頃に、意外な場所から出てきたりする……。
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