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「Good bye……鶴八七君」
それが、俺が聞いた九の最後の言葉だった。
枯葉が舞い散るかのように九の身体は宙に浮き
そして
「九先生っっ!!!」
嘘だ……。
深淵なる虚無の空間へと吸い込まれていく。
俺は慌てて崖まで走り、上から身を乗り出して下を見つめた。
びゅうっと、冷たく乾いた風が頬を撫ぜる。
髪が乱れて顔にまとわりつく。
目を凝らし、鬱蒼と生い茂る木々と下流の河を見るが、九の姿らしきものは見当たらない。
「やめろ……鶴。危ない」
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