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外来から一般の客もぞろぞろとやってくるので、九と一緒に歩いていると……。
「あの……探偵の九紅さんですよね!!?」
「きゃあ!めちゃ、格好いい」
またか。
俺は頭を抱え深いため息をつく。
パシャパシャ
という携帯電話特有のカメラシャッター音が、廊下中に響き渡る。
先程から、この行為の繰り返し――。
さすがの俺も嫌になってくる。
九は愛想のよい笑顔で、女性の肩に腕を回してポーズを決めていた。
ちなみに文化祭仮装イベント用のドラキュア伯爵のコスチュームのままで……だ。
足まで流れる漆黒のマントに、真っ赤なリボンネクタイ。
深紅の長髪をなびかせ、妖艶な化粧をしている。
驚くほど、はまり役だ。
例年通りなら、文化祭は喜三汰と回るはずなのに……。
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