FILE.3【九紅殺人事件1】

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 外来から一般の客もぞろぞろとやってくるので、九と一緒に歩いていると……。 「あの……探偵の九紅さんですよね!!?」 「きゃあ!めちゃ、格好いい」  またか。  俺は頭を抱え深いため息をつく。  パシャパシャ  という携帯電話特有のカメラシャッター音が、廊下中に響き渡る。  先程から、この行為の繰り返し――。  さすがの俺も嫌になってくる。  九は愛想のよい笑顔で、女性の肩に腕を回してポーズを決めていた。  ちなみに文化祭仮装イベント用のドラキュア伯爵のコスチュームのままで……だ。  足まで流れる漆黒のマントに、真っ赤なリボンネクタイ。  深紅の長髪をなびかせ、妖艶な化粧をしている。  驚くほど、はまり役だ。  例年通りなら、文化祭は喜三汰と回るはずなのに……。
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