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「悪いな~ヤッヒー。ほら俺、今彼女持ちだしさ。二人きりで回りたいわけ。だからさ……ヤッヒーは九先生と朱華ちゃんと回れよな」
ひょろりと長身で、黒縁眼鏡をかけたインテリ系の顔立ち。
最近、真っ黒のツンツン頭を、茶色に染めた親友で悪友の亀由喜三汰(カメヨシキサンタ)は、全く悪びれた様子もなくニヤけた顔でスキップしながら去っていく。
所詮、男の友情なんてこんなものだ……。
俺は肩を落とし、仕方なく一人で回ることにした。
「ヘイ!!鶴八七君。なんだ一人か?仕方がない……ミー様と一緒にフェスティバルをエンジョイしようじゃないか!!」
まるで図ったかのようなタイミングで、廊下の影からマントを翻し、美麗で派手なドラキュラ伯爵が現れた。
「…………結構です」
あからさまに嫌そうな顔で首を振り、その人物を拒絶した。
九紅(イチジククレナイ)。
彼は、籠鳥山高校の臨時英語教師であり、数々の難事件を解決した探偵である。
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