3.不思議な夜明け

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  「ルイちゃんも来てくれるなら、なおさら安心」  藍さんは心底安心したようにそう言って、18階にあるバーへと向かった。  あたしと陣は、ロビーのソファーに腰掛けて待つことにした。  藍さんからのワンコールを待つ為だ。 「ねえ、姫って何歳?」  陣はソファーに深く身体を預け、そのまま眠ってしまってもおかしくない体勢であたしを見つめる。 「ひ、姫?」  あたしが顔を引き攣らせると、陣はニッと歯を見せて笑った。 「だってあんた、【月下美人】の歌姫だろ。姫だよ」 「ないない。歌ってるだけよ」 「そ? でも俺はそうだと思うしそう呼びたいから、好きにさせて」  そんなの、人前で呼ばれたら恥ずかしいだけじゃないか。  あたしが答えないでいると、陣は少し眠そうな瞳を動かした。 .
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