3.不思議な夜明け

3/18
前へ
/33ページ
次へ
  「なー、何歳なのって。訊いちゃいけない歳じゃないだろ?」  ……子どもみたい。  それが判ってしまえば、接し方は簡単だ。  あたしは小さく溜め息をついて、陣を正面から見る。 「6月に22になったとこ」 「マジで? タメじゃん」 「そうなの?」 「うん。俺早生まれだから年下だけど」  すると陣は立ち上がり、人懐こい笑顔のままあたしの隣に腰を降ろした。 「何?」 「次、姫の質問タイム」 「なあに、それ」 「他人と仲良くなる時必要なのはデータ。姫も俺のデータ採集すべきだよ」  採集って。  その言い方にちょっと笑いが込み上げた。  けど、歳は聞いたから別に訊くことなんてないと思うんだけどな。 「血液型は?」  お見合いじゃあるまいし、趣味なんて訊く気はないし。  当たり障りのないことといえば、それくらいしかない。 .
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

205人が本棚に入れています
本棚に追加