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【俺のもの】とか言われるの、好きじゃなかったのに。
あたしはモノじゃない、って反発する気持ちが沸き上がるから。
だけど、陣がそう口にした途端、【俺のもの】って言葉がものすごく淫靡に聞こえた。
彼のものになることが、ものすごく気持ちいいことみたいに。
あたしの無言の答えに、陣は「マジで?」と顔を傾ける。
あたしはもう一度、しっかりと頷いた。
「あのさ……俺、好きだとか言うの、苦手なんだ。それでもいい?」
「べ、別に言葉が欲しいタイプじゃないから、多分……」
「大丈夫。伝える努力はするよ。常にね」
「どうやって……?」
「……こうやって」
陣はそのままあたしの身体を引き寄せる。
そして、煙草の香りのする唇であたしの唇を塞いだ。
軽く、眩暈がする。
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