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金木犀の香りがすると、冬へ向かって深まる秋の気配に溜め息が出るものだけれど。
今年は、陣とのキスのおかげで彼がちらついて仕方がない。
恋をした時っていうのは、どうしてこう鼻がよくなるものなんだろう。
思春期の頃の、胸がドキドキする恋をした時は、やたらプールの水の匂いが纏わり付いたっけな。
恋っていうのは、やたら五感を全開にさせるものなのかも知れない。
だってほら、陣がホールの中を行き来するのを見る度、あたしの鼻は金木犀の香りを思い出そうとする。
こういうのは、感じる度にあ、刻まれた、と自覚してしまう。
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