5.秘密

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   週末明けて、暇で仕方ない月曜日、開店前の夜。  粘着面を外側にして丸めたガムテープで、ソファーの埃や髪の毛なんかをしきりに取っている陣を見ながら、首を傾げる。  そこにいるのはどう見ても水商売の男で、金曜の夜あたしとキスをした、いかにも学生な男の面影はどこにもなかった。  いや、見事なオンオフの切り替え。  アシンメトリーの前髪は後ろに流されて、実際より年上に見えるし。  自分を見つめる視線に気付いたのか、陣はふとあたしを見上げた。 「あ、おはようございます、姫」 「おはよう、陣」  手元のものが役に立たなくなったのか、陣は太ももに貼付けていたガムテープをまたクルリと丸め、ソファーを叩き出す。  いつも黒服がそうして掃除しているのを見慣れているのに、陣がやるのを見ていると、何だか特異な妙技みたく思えて来るから、不思議だ。 .
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