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するとそこに、私服の堂本さんが表から出勤して来た。
「おう、おはよう。早いな陣」
「あ、堂本さん、おはようございまっす」
読みながら来たのか、経済誌を受付のカウンターに置きながら、堂本さんの視線が奥のあたしでピタリと止まる。
その唇の端が、ニヤリと上がった。
「おはよう、姫」
「おはようございます……って、堂本さん!?」
何で【姫】呼びが堂本さんにまで広まってるわけ?
あたしが眉根を寄せると、堂本さんはくつくつと笑いながらコートを脱ぐ。
そして、ソファーの上で四つん這いになっている陣の頭をコツンと軽く叩いた。
「こいつ、要領いいんだぞ。昨日の昼、俺に電話してきやがってな。『夜、メシ連れて行って下さい~』って」
「え、堂本さんとご飯行ったの?」
陣は手を休めないで「ん」と頷いた。
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