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堂本さんは表情や声がいつも優しい。
けど、実は怖いってことを黒服は皆しっかり悟っていて、必要以上近付こうとはしない。
だから、ホステスさん達じゃあるまいし、ご飯連れてって、なんて甘える陣みたいなのは珍しい。
「その時、藍の困った客のこととか報告してくれてな。別に今日でもよかったのに、抜目ないヤツだ」
「それで、あたしのことも?」
「ああ。よく考えたらルイはオーナーの姪御さんだしな。【姫】。うん、ぴったりだ」
堂本さんは満足げにケラケラと笑った。
ウソでしょ。
「堂本さんがそんな呼び方始めたら、皆真似するじゃない!」
「いいんじゃないか。ウチの女共は優秀で、ルイを姫って呼んだからって、つまらない嫉妬するようなのもいないし」
多分あたしは、苦虫を噛み潰したような顔をしていたんだと思う。
あたしを見て、陣と堂本さんは同時に吹き出した。
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