5.秘密

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   やがて、ホステスさん達が出勤し始めた頃、陣が開店準備で出たゴミを持って裏に行くのが見えた。  どうにも陣が気になって仕方ないのは、理由の判らないキスのせい。  あたしは、堂本さんが帳簿と睨めっこしているのを確認してから、そっと陣の後をついて行った。 「あれ、姫、どしたの?」  何事もなかったかのように、ゴミ袋を所定の場所に出した陣は、後ろに来ていたあたしを見るなり目を丸くした。  想像もしてなかった、って感じの陣の態度に、少し胸が痛くなる。  少し頬を膨らませて見せると、あたしの考えていることが判ったのか、陣は眉尻を下げて笑った。 「ああ、金曜の夜のこと」  それが少し照れ臭そうな笑顔で、陣にとって別に大したことじゃない、と思われているわけじゃないと判って、やっとホッとした。 .
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