5.秘密

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   陣はセットした頭を崩さないように、そっと掻いた。 「えっと、今日上がったら姫にはちゃんと声かけようと思ってたんだよ」 「……ホントに?」 「うん。だってここ、職場恋愛禁止なんだろ。初日から破ってるって堂本さんにバレたら、出入り出来なくなっちまう。だから、店ではその話出来ないなって」  ……考えてたのか。  それが判ってたら、居ても立ってもいられなくて、陣と2人きりになるだなんて迂闊なこと、しなかったのに。  あたしのささやかな自己嫌悪が判ったのか、陣はクスクスと笑った。 「女の子不安にさせたらダメだよな。うん、俺が悪かった」  俯いて口を尖らせたあたしを見ながら、陣はまたニコリと微笑む。  そして、キッチリ巻いたあたしの髪の毛をひとふさ、指に絡ませた。 .
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