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「姫、夜寝てないんだろ? 大丈夫か?」
後部シートはあたしを真ん中にして、右に叔父貴、左に陣。
どっちも長身なもんだから、あたしは小さくなって座るしかない。
そんな中、陣は心配そうにあたしの顔を覗き込んで来た。
「ん、大丈夫」
正直、自分が寝てないことなんてあまり気にしてなかったし、眠気なんてこれっぽっちもなかった。
「澤村さんが言ってたよ。こういう時、人はあんまり眠らなくなるから、突然倒れたりすることもあるって」
「そうだな。帰りの車では寝ろよ、留衣」
叔父貴は外の景色を眺めながら、陣に同調した。
陣は仕事の後、朝方少し眠ったと言ってたけど、叔父貴だってあたしと同じで寝てないくせに。
「寝る気分じゃないよ。苛々が止まんない」
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