7.外は大雨

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   そうしていると陣が「聴く?」なんて、iPodをバッグから取り出した。  不謹慎かな? でも、気が紛れるかも。  そんなことを言いながら、あたしの肩を引き寄せる。  あたしは陣に近寄って、1曲だけ一緒に聴いた。  男の人が歌う、切ないバラード。  聴いているうちにしんみりして来てしまって、あたしはそっとイヤフォンを外した。  実はこの時のあたし、ちょっと緊張していた。  13年ぶりの、お父さんとの対面を前に。  しかも、相手は遺体だし。 「こっちですわ」  藤原さんに案内されたのは、一見倉庫に見えてしまいそうな、簡素な造りの建物。  遺体を保管している冷凍庫があるのだそうだ。  藤原さん達は白い手袋をして、それぞれ数珠を手にしている。  やがて、ドラマの鑑識さんみたいな人達が、ストレッチャーで何か運んで来た。  乗せられたものは大きな布で人型に包まれていて、あたしは思わず息を飲む。 「……それじゃ、確認お願いします」  声のトーンが低くなった藤原さんは、手を合わせてから布を左右に開いた。 .
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