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その時知ったんだけど、お父さんとお母さんは籍を抜いていなかった。
藤原さんが言うには、身寄りのなかったお父さんは、免許証は持っていたらしい。
遺品の中からそれを頼りにお父さんの本籍地を辿り、そこで妻であるお母さんの所在地を突き止めた。
けれどお母さんは病院で、今は病状が酷くてとても話が出来る状態ではないからと、ナースステーションの看護師さんからあたしと叔父貴のところへ行くように言われた、とのことだった。
なるほど、病院の看護師さん達には緊急の連絡用に【月下美人】のことを伝えてあったものね。
それを聞くと、タライ回しにされて来た藤原さん達の顔に疲労が見える気がする。
突然の訃報に一瞬頭が真っ白になったけど、あたしの人生の始めの方しかいなかったお父さんの生死なんて、どちらでも同じだと思った。
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