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「連絡はね、取ってたのよ。ずっと」
ベッドの上、カーディガンを羽織って、青白い顔をしたお母さんは、気落ちした様子であたしにそう言った。
出て行ったお父さんは、1年も経たないうちに女とは別れたらしい。
けれど戻って来られる筈もなく、地方の仕事を転々として食い繋いでいたそうだ。
お母さんやあたしは、実家や叔父貴、そして床に頭を擦りつけんばかりの勢いで頭を下げて来た、お父さんの両親──あたしのおじいちゃんとおばあちゃん──の援助を受けながら、何とか暮らして来たけれど。
お父さんは、ギリギリの状態で、一人で暮らしてた。
時々、お母さんがお父さんの暮らしを助けていた程に。
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