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「……ったく、よそのカップルの危機を心配して勝手に不安になって、それで誘うとか冗談じゃない」
「……そうなの?」
「それ以外に何か正当な理由があるのか? 立派な八つ当たりだよ」
……そう、かも。
言われてみれば、当たってる気がする。
無意識のうちに思わず、叔父貴が藤乃さんと別れて1人になるのを想像した。
それは叔父貴自身の問題で、決してあたしの問題じゃない。
もしも、の叔父貴の孤独を自分に重ねてたのかも知れない。
寒い冬の朝なんて大嫌いな、あたしの中の小さな女の子。
あたしは陣の肩に額を乗せると、ぽつんと呟いた。
「ありがと、陣」
「ん、よく判ってる。許してしんぜよう」
そのまま、彼の肩でクスクスと笑った。
そのまま縋るように、甘えるように陣の肩に腕を回す。
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