10.姫の我儘

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  「……ったく、よそのカップルの危機を心配して勝手に不安になって、それで誘うとか冗談じゃない」 「……そうなの?」 「それ以外に何か正当な理由があるのか? 立派な八つ当たりだよ」  ……そう、かも。  言われてみれば、当たってる気がする。  無意識のうちに思わず、叔父貴が藤乃さんと別れて1人になるのを想像した。  それは叔父貴自身の問題で、決してあたしの問題じゃない。  もしも、の叔父貴の孤独を自分に重ねてたのかも知れない。  寒い冬の朝なんて大嫌いな、あたしの中の小さな女の子。  あたしは陣の肩に額を乗せると、ぽつんと呟いた。 「ありがと、陣」 「ん、よく判ってる。許してしんぜよう」  そのまま、彼の肩でクスクスと笑った。  そのまま縋るように、甘えるように陣の肩に腕を回す。 .
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