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控え室で、2回目のステージの準備をして待っているあたしのところに、藤乃さんがやって来た。
「ルイちゃん、ちょっといいかな」
困ったような笑顔を浮かべる藤乃さん。
今日のうちに藤乃さんはあたしのところに来るだろうと思っていたし、何の話かは判っていた。
藤乃さんの方もそれを承知している様子で、ドアのところで立ち尽くしたまま、あたしを見つめる。
「明日、お昼ごはん一緒に食べない?」
「……うん。いいけど」
「話が、あるの」
「判ってる」
怒り出す様子のないあたしに安心したのか、藤乃さんは深い溜め息をついた。
「よかった。ルイちゃん、大人だね」
「別に、そういうわけじゃ……」
「藍ちゃんが言ってたの。昨日のうちに、女の子皆聞いちゃったんでしょ? だけど広樹さん、何も知らなかった」
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