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その晩から、あたしと叔父貴は仕事に復帰した。
叔父貴は陣に「休んでもいい」と言ったけど、彼はけろりとしてそのまま出勤して来た。
顔色ひとつ変わらない陣を見ながら、叔父貴は「あの若さが羨ましい……」とぼやいていて、あたしは思わず吹き出した。
そのまま控え室に足を踏み入れると、妙な空気に出くわした。
見ると、藍さんを中心に、メインのホステスさん達皆渋い顔をしている。
「ど、どうかしたの?」
それを訊くので精一杯で、あたしは思わず顔を引き攣らせた。
咄嗟に愛想笑いをすることも躊躇ってしまう程、その空気は重い。
すると、藍さんが煙草片手にのろりとあたしを見上げた。
その視線に、あたしへの嫌悪がなかったことにとりあえず安心する。
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