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見透かされて、カッと頬が熱くなる。
陣はそのままあたしを膝の上に乗せ、自分の足だけでゆるゆるとブランコを揺らした。
「別に俺ら、そーゆーの目的じゃないだろ。何急に焦ってんの?」
「……」
「それとも、姫はそーゆー付き合いがしたかったの? 俺、そんなにお手軽に見える?」
「違……っ」
かぶりを振ろうとしたら、そのまま顎を掴まれ、噛み付くような勢いで唇を塞がれる。
「ん……っ!」
逃げ回る舌を捕らえられ、痛い程吸い上げられた。
陣の手の中で、コーヒーの缶がバキ、と音を立てる。
……これ、スチール缶じゃ……。
暴れる舌にいやという程いたぶられ、ふっと唇が離れた。
陣を見上げると、熱い瞳の奥に怒りが揺らめいている。
「苛々するのも八つ当たりもいいよ。姫がそうしたいんなら。けど、俺の気を引きたくてやってるんじゃないなら、少しクールダウンしてくれない」
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