10.姫の我儘

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   見透かされて、カッと頬が熱くなる。  陣はそのままあたしを膝の上に乗せ、自分の足だけでゆるゆるとブランコを揺らした。 「別に俺ら、そーゆーの目的じゃないだろ。何急に焦ってんの?」 「……」 「それとも、姫はそーゆー付き合いがしたかったの? 俺、そんなにお手軽に見える?」 「違……っ」  かぶりを振ろうとしたら、そのまま顎を掴まれ、噛み付くような勢いで唇を塞がれる。 「ん……っ!」  逃げ回る舌を捕らえられ、痛い程吸い上げられた。  陣の手の中で、コーヒーの缶がバキ、と音を立てる。  ……これ、スチール缶じゃ……。  暴れる舌にいやという程いたぶられ、ふっと唇が離れた。  陣を見上げると、熱い瞳の奥に怒りが揺らめいている。 「苛々するのも八つ当たりもいいよ。姫がそうしたいんなら。けど、俺の気を引きたくてやってるんじゃないなら、少しクールダウンしてくれない」 .
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