10.姫の我儘

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  「あのなぁ、姫」  呆れたような声。 「人の心配するなとは言わないけどさ、思いやるならそこに俺も入れてくんない。せっかく姫に誘われたのに、断らざるを得ない俺の理性、スゴイよねー」  ……え?  瞬きの後、陣の瞳から力が抜けた。 「……陣……」 「やっと悟ったんなら、何も言わないでクダサイ」  やだ。どうしよう。  急に、恥ずかしくなった。  要するに陣は、叔父貴のことを考えたあたしに怒りを覚えたわけで。  それって、嫉妬、って言うんじゃなかったっけ。 「こら、ニヤニヤすんな。まだ俺、怒ってんだからな」  額をゴツン、と頭にぶつけられる。 「いたっ」  目の前の陣は、軽く唇を噛み締めると、少し恨めしげにあたしを睨み付けた。 .
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