10.姫の我儘

10/11
前へ
/28ページ
次へ
  「姫?」 「……エッチなことしてって言わない代わりに、ギュッて抱きしめて欲しい」 「……あのね、またそういうことを……」  呆れたようにそう言いながら、陣は潰れた缶を足元に転がし、あたしの腰と背に手を回し、そのまま抱きしめてくれた。 「判ってると思うけど俺、オスだから」 「……別にあたしはいいんだけど。これ、もう八つ当たりじゃないよ?」 「だから、煽らないで。ケジメなんだから、協力しなさいよ」  拗ねた口調に、またあたしはクスクスと笑う。  あたしの耳の後ろで大きく溜め息をつくと、陣は低く呟いた。 「見てろよ。その時は容赦しないから」 「うん、楽しみにしてる」 .
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

163人が本棚に入れています
本棚に追加