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つまらない嫉妬をする女はいない、なんて堂本さんは言っていたけど、その分規律の守られた女同士は厳しいわけで。
知らず知らずのうちに誰かを不快にさせてしまったところで、注意してくれるようなお人よしは、あまりいない。
だから、自分がヘマをしたわけではないと判るこの瞬間は、命拾いでもしたかのような気分になる。
藍さんはゆったりと紫煙を燻らせながら、口を開いた。
「ルイちゃん、藤乃さんが来ても口利かないでね。ヘルプの娘達も、藤乃さんのアシストは最低限しかしないって言ってるから」
思わず、ポカンとしてしまう。
何なんだ、この小学生や中学生以来の緊張感は。
普段女王様キャラの藍さんの言葉は、鶴の一声に限りなく近い。
あたしが戸惑いながら視線を揺らすと、判らなくて当然、と言うように藍さんは顔を傾けた。
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