14.言葉より大切なもの

4/20

134人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
  「……藤乃の言ったことは、気にするな。俺達は親子みたいなもんだぞ。それは俺とお前が一番よく判ってるだろ? 俺はお前が大事だし、可愛くて仕方ない。お前だって、俺のことが好きで、大事だろ? ずっとふたりきりの家族だったんだ。そんなの当たり前じゃないか」  そう。  あたし達はずっとふたりきりだった。  何でも話し合って、いつも一緒で──。 「……だけど……叔父貴は、お父さんじゃないもの……」  叔父貴は、悲しそうな顔をした。 「……そうだな。俺は留衣の父親にはなれない。兄貴がいるもんな。あくまで代わりでしかないよな」  悲しそうな笑みはそれでも、優しくあたしを見つめた。  このまなざしは、いつだってあたしの味方だ。 .
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

134人が本棚に入れています
本棚に追加