16.拭われる不安

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   ゆっくりと目を開けると、知らない窓が視界に映る。  ここ、どこだっけ。  ぼんやりとした頭で考えながら小さく身じろぎすると、後ろから強い力で抱き寄せられた。  振り返らなくても、背中に感じる体温が陣のものだと判る。  それが不思議で、小さく笑った。  昨夜は、あのまま陣の部屋に泊まったんだっけ。  思い出して、余韻に浸る。  あたしがそれ以上動かないでいると、陣は安心したように身体を寄せて来た。  眠っているとは言え、縋るようにあたしを抱き竦める陣に、胸が締め付けられる。  癒えぬ彼の孤独や痛みが、それで判るような気がして。  そうだよね。  家族と暮らす筈だった部屋に1人で帰る日々は、どれほど心に影を落として行ったことだろう。  それは、大人になる程堪えることだったと思う。 .
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