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……それにしても。
たった10日程で、人生って変わるものなんだなぁ。
まだ身体に陣の気配が残ってる気がして、あたしは控え室でメイクを整えながら溜め息をついた。
どうしよう。
恋愛系のバラードなんて歌ったら、感情移入し過ぎてBGMじゃなくなっちゃうんじゃないだろうか。
それどころか、陣の視線を感じる度舞い上がって、ステージで悶えてしまうかも知れない。
黒服の大人っぽい陣が、アイドルみたく閉じたピースでポーズをつけるのを想像してしまい、悲鳴を上げそうになった。
仕事中にそんなことするわけないのに。
全く、惚れた腫れたの感情は、人をバカにさせるものだ。
頭に蓋が付いていて、それを開けられるとしたら、あたしのそこには大輪のバラやボタンが詰まっているんじゃないだろうか。
何とか落ち着きたくて、深い溜め息をついた。
すると、軽くノックの音。
開けられたドアから、藤乃さんが顔を覗かせた。
「おはよーございます、藤乃さん」
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