16.拭われる不安

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  「で、今度は留衣が俺に縋るの?」  ホールの掃除を済ませた陣は、クスクスと笑いながら缶コーヒーに口をつけた。  藤乃さんはふぅと溜め息をつくと、口を開く。 「この間から、ちょっと体調悪くて……まさか、とは思ってたんだけどね。今日夕方、病院に行って来たんだ」  他のホステスさん達が出勤して来る前に話してしまいたいのか、藤乃さんはハンカチで口元を押さえながら続ける。 「……妊娠2ヶ月、だって」 .
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