涙の予約

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美央「え……聞きたくないの?」 美央は不思議そうにしながら僕に聞いた。 翔「美央が言いたくないなら、聞かない。でも美央が話したいことなら、どんな事でも受け入れる」 僕のその言葉を聞いて少し悲しそうな表情をした美央だったが、すぐに笑顔になった。 美央「やさしいね……翔は……」 そう言って美央はまた黙ってしまった。  どのくらい時間がたっただろう……今まで黙っていた美央が突然口を開いた。 美央「翔……少し歩かない?」 美央の問い掛けに対して僕は「うん……」と頷いた。  僕達は静かな街の中を並んで歩いた。二人の歩幅は同じ…… 突然美央が立ち止まる。僕は足を止め美央を見る。美央の顔は車のヘッドライトに照らされて少しゆれているように見えた。美央が静かに言った。 美央「翔……やっぱり聞いて……」 僕は静かに「うん……」と答えた。
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