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『博士、紅茶です。』
誰もいない書斎に入り、埃を被った本の山を退け、そこにいつもと同じ様に紅茶の入ったマグカップを置く。
何十年、同じ事をしてきただろうか、それすらわからなくなってきた。
私に記憶(インプット)されているデータは、"この時間に、博士の部屋に紅茶を届ける"。
ただこれだけ。
博士のいなくなってしまった後も、こうして何度も何度も届ける。
夜中に、紅茶の入ったままのマグカップを取りに来て、紅茶を捨ててマグカップを洗う。
そして、次の日の朝6時45分00秒に、この書斎へまた紅茶を届ける。
そうした日々を、もう何十年も続けてきた。
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