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私には、もう一つ、記憶されていない[日課]というものがある。
博士の紅茶を置いたあと、この家を掃除する。
玄関から居間、リビングから浴室まで、ありとあらゆる所を綺麗にする。
博士が、いつでも戻って来られる様に、見てびっくりするように
私でもこんなことができるんだーと、知ってほしいから。
私は、博士の紅茶を置いた後、いつもならすぐ部屋を出るが、今日は少し残る事にした。
辺りを見渡す。
沢山の本棚には、分厚い本がぎっしりと詰められている。
…掃除しておこう。
ここは博士が過ごす場所。
何故私は掃除しなかった?
博士が大事にしていた本が、こんなにも埃で埋れているのに。
私は、マグカップを置いていたトレイをキッチンへ置きに行き、また博士の部屋へと向かった。
沢山の本を一冊ずつ丁寧にハタキで叩き、また同じ場所に戻す。
何時間やっただろうか。
なんと多い本だ。
最後の本棚に移り、残りの一冊を手に取る。
本の題名を確認する。
【心】
私は、無意識にその本を開いていた。
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