1・高校入学

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刃平は、高校に入学した。 瀬織は、刃平の霊服の力が向上したこともあり、家の改築に踏み切った。 現在の家の隣に増築し、そこの地下に新たに、霊服の力でも容易には壊れない地下の道場を作った。 増築した建物は、今後、刃平達に多数の子供が出来ることを想定し、夫婦生活と子育てに専念できる部屋を用意した。 この工事は、刃平が高校受験が終わる頃には、完成した。 刃平の成績からすると、ナデシコと同じ成倫高校の受験は不安が高かったが、無理して受けた。 結果は合格だった。 実は、若干、試験の点数は足りなかったが、瀬織が手を回した。本人には、ナイショだ。 「自分の努力で手に入れる結果」に、彼はこだわっていたが、残念ながら、彼には満足に学業に励む時間はない。魂仙手の修業をして、日本に巣食う侵略民俗の活動阻止もして、瀬織を除く、ドジコ、ナデシコ、スラリの3人の夫人にも、時間を割いて付き合ってきた。 勉強はおろか、悩んだりすら、している時間はないのだ。 合格発表の晩は、刃平の合格祝いを、ささやかに、行った。瀬織とドジコ以外は、学生なので、ジュースで、乾杯した。 主に、勉強をみてきたナデシコに、刃平は、ことのほか感謝した。 「いやー、ほんと、ナデシコのおかげだよ。教えかたが、うまいから、はかどったしね。」 ナデシコは、冷静に、謙遜した。 「いえ、まだまだ力不足でした。すみません。」 これを聞いて。瀬織は、ひやひやした。 ナデシコは、刃平の試験の点数が足りないのは知らないはずだ。しかし、教えてきたナデシコには、刃平の成績が合格には及ばないレベルだったことは、わかっていたのだろうと、瀬織には、思えた。 刃平はまったくそんなことには気が回っていない。 「そんなことないって!そうだ! 何か、お礼に出来ることがあれば、なんでも…あ、いや、控えめに、やるから、言ってみて…」 ナデシコがいささか、常識外れであることもわかっている。なんでも叶えるなどといえば、どんな無茶が出てくるか、わからない。それで、刃平は、歯切れが悪いのだ。
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