1・高校入学

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そこに、テニスウェアの男子生徒が、走ってきた。 「矢島さん!おかしなのが校門に来てます!」 矢島は、陣平に、 「ちょっと失礼。」 と言うと、テニスウェアの生徒と話し出した。 「おかしいってなんだい?」 テニスウェアの生徒は、息を整えて、話し出した。 「近くのエベルキン学校のやつらだ。 番格のヤツを出せって、よ。 5人いる。」 矢島は落ち着いていた。 「先生に連絡してくれ。 俺に言われてもなあ。」 「もう、話したよ!誰も来ない。 エベルキンの奴らは、シツコイから、先生方も、関わりたくないんだ。」 矢島は、あははは、と破顔した。 「そうだ。関わらなければいいさ。」 「ヤツラ、下校する生徒にチョッカイ出し始めてる。誰かケンカしちまうよ、あれじゃ。今までこんなこと無かったのに。」 もう一人、そこに走ってきた。 ナデシコだ。 なぎなた部の袴を履いている。 「陣平様!校門にエベルキン学校の、」 陣平は、手でナデシコを制した。 「今、聞いた。つうか、先輩なんだから、様て、呼ぶなよ。」 ナデシコは、頭を下げた。 「失礼しました。さすがに、陣平くんとは呼べないので…」 矢島が、陣平に、聞いた。 「佐倉令嬢と、知り合いなのかい?」 「令嬢?」 「彼女の愛称だよ。昨年のミス成倫高校だし、頭いいし、育ちもいいみたいなんでね。」 陣平は、どう説明すべきか、迷ったが、 「幼馴染み、というか、まあ、そんなとこで。」 と、あまり上手くない嘘をついた。 ナデシコが、陣平の腕をつかんだ。 「それどころではありません。 女子が絡まれてます。」 陣平は、仕方ないと覚悟を決めた。 「初日からこれかよ。わかった。ナデシコは、ここにいるように。」 陣平は、体育館を出た。
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