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そこに、テニスウェアの男子生徒が、走ってきた。
「矢島さん!おかしなのが校門に来てます!」
矢島は、陣平に、
「ちょっと失礼。」
と言うと、テニスウェアの生徒と話し出した。
「おかしいってなんだい?」
テニスウェアの生徒は、息を整えて、話し出した。
「近くのエベルキン学校のやつらだ。
番格のヤツを出せって、よ。
5人いる。」
矢島は落ち着いていた。
「先生に連絡してくれ。
俺に言われてもなあ。」
「もう、話したよ!誰も来ない。
エベルキンの奴らは、シツコイから、先生方も、関わりたくないんだ。」
矢島は、あははは、と破顔した。
「そうだ。関わらなければいいさ。」
「ヤツラ、下校する生徒にチョッカイ出し始めてる。誰かケンカしちまうよ、あれじゃ。今までこんなこと無かったのに。」
もう一人、そこに走ってきた。
ナデシコだ。
なぎなた部の袴を履いている。
「陣平様!校門にエベルキン学校の、」
陣平は、手でナデシコを制した。
「今、聞いた。つうか、先輩なんだから、様て、呼ぶなよ。」
ナデシコは、頭を下げた。
「失礼しました。さすがに、陣平くんとは呼べないので…」
矢島が、陣平に、聞いた。
「佐倉令嬢と、知り合いなのかい?」
「令嬢?」
「彼女の愛称だよ。昨年のミス成倫高校だし、頭いいし、育ちもいいみたいなんでね。」
陣平は、どう説明すべきか、迷ったが、
「幼馴染み、というか、まあ、そんなとこで。」
と、あまり上手くない嘘をついた。
ナデシコが、陣平の腕をつかんだ。
「それどころではありません。
女子が絡まれてます。」
陣平は、仕方ないと覚悟を決めた。
「初日からこれかよ。わかった。ナデシコは、ここにいるように。」
陣平は、体育館を出た。
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