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校門に行くと、制服が違うガラの良くない男子がたむろしているので、すぐにわかった。
女子が一人、捕まっている。
彼らは移動し始めた。
完全に拉致する気だ。
成倫高校の男子2人が、見かねて揉めているが、5人と2人では、足止めすらままならないようだ。
陣平は、呼び止めた。
「そこのエベルキン!待ったあ!」
自分で言って、陣平は恥ずかしくなった。
毎回、こうしたときのセリフが間抜けだと自分でも思うのだ。
5人のリーダー格と思われる男が、ずいっと、前に出てきた。
「まさか、お前が、番長ってことは、ないよな?」
「番長?…ププッ」
たまらず陣平は、吹いた。
今時、番長とは、古風過ぎて、笑えたのだ。
「アホらしい。時代錯誤の在日エベルキン人の遊び相手なんて、やってられない。
とっとと、女子から手を離して、お引き取りください。」
言いながら、陣平は、5人の内容をみた。
今、目の前の一番体の大きいのがリーダー、女子をつかんでいる2人は、どちらもぽっちゃりしている。力はありそうだ。細いのが1人、丸刈りの標準的体型が1人、順列は、リーダー、丸刈り、あとは、同列だろうと、読んだ。
矢島が、結局、ノコノコやって来た。
リーダー格は、矢島を番格と見たようだ。
「お前が、頭か?」
矢島は、あははは、と、ここでも笑った。
「この学校は不良が少なくてなあ。番長とか、いないのだよ。お引き取り願おう。」
でかい不良は、
「俺たちと、そこの神社まで、来てもらおうか?」
と矢島に言う。
矢島が笑った。
「いやあ、やめたほうがいいんじゃないかな?俺の負けでいいから。」
矢島の余裕が気に入らないエベルキン人は、容易くぶちきれた。
「ここでやったらあ!」
矢島に、5人のうち、一番体つきの細い男が、殴りかかった。
矢島は、薄ら笑いを浮かべながら、
後ろに下がった。
男の拳が空振りした。
「おお、こわい。危ないなあ。」
「てめーー!バカにすんぬあ!」
突進してきた。
これは、避けきれない。
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