1・高校入学

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校門に行くと、制服が違うガラの良くない男子がたむろしているので、すぐにわかった。 女子が一人、捕まっている。 彼らは移動し始めた。 完全に拉致する気だ。 成倫高校の男子2人が、見かねて揉めているが、5人と2人では、足止めすらままならないようだ。 陣平は、呼び止めた。 「そこのエベルキン!待ったあ!」 自分で言って、陣平は恥ずかしくなった。 毎回、こうしたときのセリフが間抜けだと自分でも思うのだ。 5人のリーダー格と思われる男が、ずいっと、前に出てきた。 「まさか、お前が、番長ってことは、ないよな?」 「番長?…ププッ」 たまらず陣平は、吹いた。 今時、番長とは、古風過ぎて、笑えたのだ。 「アホらしい。時代錯誤の在日エベルキン人の遊び相手なんて、やってられない。 とっとと、女子から手を離して、お引き取りください。」 言いながら、陣平は、5人の内容をみた。 今、目の前の一番体の大きいのがリーダー、女子をつかんでいる2人は、どちらもぽっちゃりしている。力はありそうだ。細いのが1人、丸刈りの標準的体型が1人、順列は、リーダー、丸刈り、あとは、同列だろうと、読んだ。 矢島が、結局、ノコノコやって来た。 リーダー格は、矢島を番格と見たようだ。 「お前が、頭か?」 矢島は、あははは、と、ここでも笑った。 「この学校は不良が少なくてなあ。番長とか、いないのだよ。お引き取り願おう。」 でかい不良は、 「俺たちと、そこの神社まで、来てもらおうか?」 と矢島に言う。 矢島が笑った。 「いやあ、やめたほうがいいんじゃないかな?俺の負けでいいから。」 矢島の余裕が気に入らないエベルキン人は、容易くぶちきれた。 「ここでやったらあ!」 矢島に、5人のうち、一番体つきの細い男が、殴りかかった。 矢島は、薄ら笑いを浮かべながら、 後ろに下がった。 男の拳が空振りした。 「おお、こわい。危ないなあ。」 「てめーー!バカにすんぬあ!」 突進してきた。 これは、避けきれない。
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