1・高校入学

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矢島は仕方なく、腰を落とし、軽く腹を突いた。 「うぼっ」 男は、しゃかんで、苦しんだ。 矢島は、相変わらず飄々としていた。 「あー。ダメだよ。ビックリして、つい、手が。」 陣平は、それを見て、矢島が相当できると、感じた。一撃の重さがある。 その間に陣平は、女子を彼らから引き剥がした。 ぽっちゃりの2人が、互いに目で合図して、2人同時に矢島に向かう。が、矢島に届く前に、矢島から、片方のぽっちゃりに近づき、足を払った。 ぽっちゃりは、転んだ。 「こ、この!」 もう一人のぽっちゃりは、矢島に、タックルを、仕掛けた。 矢島は、受けとめながら、倒されたかに見えたが、ぽっちゃりの下になりながらも、折り畳んだ足が、ぽっちゃりの腹に当てられている。 矢島の背中が地面に着くと同時に、足が、ぽっちゃりの腹を蹴りあげた。 「ぐふあ」 ともえ投げのように、ぽっちゃりは、飛んだ。 矢島は、起き上がり、 「退学になったら困るんだよな。」 と、愚痴りながら背中の汚れを払った。 足を払われて転んだぽっちゃりは、鼻を打ったらしく、鼻血が出ている。 「くそ日本猿があ!」 矢島に、つかみかかる。 「うわ、なんかくさいので、寄らないで。」 ひらりとかわすと矢島は腕で、後頭部に巻き付くように打った。 ぽっちゃりは、白眼を剥いて昏倒した。 後頭部の下のある部位は、打たれると昏倒しやすい。もちろんそれだけの威力は必要だ。腹を打たれてしゃがんでいた細いのは、起き上がった。 少し、ゲロを吐いた。 矢島は、忠告した。 「内臓痛めてるから、もうやめときなよ。死んじゃうぞ?」 陣平は、思わず、 「すげえアテファ…」 と呟いた。
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