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矢島は仕方なく、腰を落とし、軽く腹を突いた。
「うぼっ」
男は、しゃかんで、苦しんだ。
矢島は、相変わらず飄々としていた。
「あー。ダメだよ。ビックリして、つい、手が。」
陣平は、それを見て、矢島が相当できると、感じた。一撃の重さがある。
その間に陣平は、女子を彼らから引き剥がした。
ぽっちゃりの2人が、互いに目で合図して、2人同時に矢島に向かう。が、矢島に届く前に、矢島から、片方のぽっちゃりに近づき、足を払った。
ぽっちゃりは、転んだ。
「こ、この!」
もう一人のぽっちゃりは、矢島に、タックルを、仕掛けた。
矢島は、受けとめながら、倒されたかに見えたが、ぽっちゃりの下になりながらも、折り畳んだ足が、ぽっちゃりの腹に当てられている。
矢島の背中が地面に着くと同時に、足が、ぽっちゃりの腹を蹴りあげた。
「ぐふあ」
ともえ投げのように、ぽっちゃりは、飛んだ。
矢島は、起き上がり、
「退学になったら困るんだよな。」
と、愚痴りながら背中の汚れを払った。
足を払われて転んだぽっちゃりは、鼻を打ったらしく、鼻血が出ている。
「くそ日本猿があ!」
矢島に、つかみかかる。
「うわ、なんかくさいので、寄らないで。」
ひらりとかわすと矢島は腕で、後頭部に巻き付くように打った。
ぽっちゃりは、白眼を剥いて昏倒した。
後頭部の下のある部位は、打たれると昏倒しやすい。もちろんそれだけの威力は必要だ。腹を打たれてしゃがんでいた細いのは、起き上がった。
少し、ゲロを吐いた。
矢島は、忠告した。
「内臓痛めてるから、もうやめときなよ。死んじゃうぞ?」
陣平は、思わず、
「すげえアテファ…」
と呟いた。
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