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「まあ、こんな所で考えてたってどうしようもならない、か。ねえ、ゾネはこれからどうする?」
「オイラ?」
窓辺に寄り掛かって肘を抱えるフィリアに向かって、首をかしげながら怪訝な表情を浮かべるゾネ。
彼女の漆黒の瞳には哀愁こそあれど、迷いは見受けられない。
『迷わない』──彼女は口にした通り、戦う事を決意しているに違いない。
ゾネは天井を仰いだ。
ゆっくりと目を閉じると、大好きだった村人達と契約者の笑顔が浮かぶ。
彼らの姿が霞み消えて行くと、ゾネはようやくいつものようににんまりと笑った。
「オイラはね、人間が大好きだ」
フィリアは目を丸くさせる。
ゾネはごろんと背中をベッドに転がすと、両手を天井へと伸ばした。
「手伝うよ、オイラも戦う」
「……でも、ゾネ」
「いいんだ。だってオイラ、決めたんだ」
精霊と戦うという事は、ゾネは同族と対立するという事。
それでも、ゾネは揺るがない。
鍵を守る──ラウドの母エステルとの約束を守りきれなかった。
だからこそ、今度は守るのだ。
彼女が守ろうとしていた大切なものを。
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