第一章 「ごめん」と言われても困ります……

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同じ川沿いでも、木屋町通沿いの高瀬川を散策しようと路地を歩くことにした。 京都の道は基本、碁盤目のようになってる。 方向さえ間違えなければ問題無い。 適当に歩いても大丈夫な筈だ。 行き止まりだったなら、そのまま元の道へ引き返せば良い。 そう考えた私は、今日の蒼の様子や言葉を思い出しながら歩き出した。 ### ……何分位歩いたのだろうか――――。 先斗町(ぽんとちょう)から木屋町通りが(こんなに遠かった……?)と、ふと疑問に思い、立ち止まる。 何時(いつ)の間にか、辺りは真っ暗だ。 あれだけあった人の声すらしない。 木屋町通も繁華街だ。 気付かぬうちに終電の時間を過ぎてしまって、店舗の光も街灯も消えてしまったのだろうか……。 ……だとしても。 こんなに明かりが無いことも珍しい。 辺りをきょろきょろと見回す。 …………何かがおかしい。 人もおらず、灯りもない。 月の光もない。 そんなこと、あり得るのだろうか……。 ただただ漆黒の闇の中、私はその場で一人、立っていた――――。
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