第二章 『ソウ』って誰ですか?

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散切(ザンギリ)頭は、明治時代になった象徴のようなものだ。 それまでの男性は、大抵の人が、皆、髷を結っていた。 【断髪令】が出て強制では無かったが、次第に皆、散髪をしていった……。 ――――時代遅れという訳じゃなく。 ――――特に骨董好きという訳じゃなく。 ただ単に、今この時代が【文明開化=明治時代】以前なのだ……。 私は確信する。 『旧暦』や『元号』、『着物姿』に『行灯』、『箱膳』そして『髷』……。 一つ一つの疑問は些細なことかもしれないが、気になることは沢山あった。 今この時が『明治時代以前』と考えると、全て辻褄(つじつま)が合う。 そんなことを考えていると――――。 「………先生。そんな大きな声で言わなくても、聞こえてます。いくら前川邸に私達が移ったとはいえ、他の人に聞かれたらどうするんですか……」 と、『ソウジ』と呼ばれたソックリさんが、溜め息混じりに言った。
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