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畳、百五十畳って……。
(どんだけ広いん?!)
現代の家の概念から考えると、とんでもない広さだ。一体、何部屋あるのだろうか?
(一部屋八畳として……約十八部屋?!LDKがあったとしても15LDK??!!大邸宅やん……)
開いた口が塞がらない、と言った感じでぽかーんとしていると、
「……まぁ、実際のところは、百四十六畳だったんですけどね」
と、その時の様子を思い出したのか、少し嬉々とした感じで沖田さんは話す。
「――――って。……え?!まさか、沖田さんが数えはったんですか?!」
誰が畳の数なんて数えたのかと思ったら、まさか沖田さんだったとは……。
人は見掛けによらないものだ。
一体何のために数えたのだろう?
こう見えて、実は一風変わったヒトなのだろうか?
沖田さんを見る目が変わりそうだ。
「いいえ。実際に数えたのは僕ではありませんが……」
と言い、軽く握った左手の人差し指の関節を軽く口にあてて、くすくすと笑った。
相変わらず、暖かで柔らかい雰囲気を醸し出す微笑みだ。
蒼に似ているせいか、この微笑を見ていると理由も無く安心する。
拾われたのが沖田さんじゃなかったら、もっと不安に苛まれていたのではないか、と思う。
そんな思いを心の中で熟噛み締めていると、
「お月さんにも、後で彼等を紹介しますね」
と、沖田さんは更ににっこりと笑って言った。
そして、
「兎に角、広いので迷子にならないで下さいね」
と私が思っていたことを、まるで超能力者のように言い当て、釘をさしたのだった……。
******――******
暫く進むと、突然、沖田さんの足が止まった。
先程とは打って変わって、真剣な表情をして私を振り返って見る。
「先生方が待っているのは、此処を曲がったところにある部屋になります。僕が入ったら、お月さんは後ろに付いて入ってきて下さい」
と沖田さんは私に言い、皆さんがいらっしゃるという部屋の襖の前に座った。
私もそれに倣って彼の斜め後ろに座ったのを確認すると、
「沖田です。失礼します」
と言って、襖を開けた。
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