第7話

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( ^ω^)「なんだお。まあ要するに僕が、あの世界の最終防衛ラインというわけだおね」 ζ*゚ー゚)ζ「ふうん、分かってるじゃない」 ( ^ω^)「でも、それなら僕をあそこで殺せばよかったじゃないかお。いいや、今もだお。わざわざこんなところで洗脳じみたことをしなくても」  と、僕の言葉を遮るように、傍らのテーブルにごとっと黒い何かが置かれた。僕はそれがなんだか覚えている。あの世界であのとき、ドクオの持ち出した拳銃だ。 ζ*゚ー゚)ζ「もしここで、あたしがそれを撃ってと言ったとして、あなたは撃つ?」 ( ^ω^)y=-「撃つかおね」拳銃を拾い上げると、ずっしりとした重さを手の中に感じた。 ζ*゚ー゚)ζ「撃たないでしょ」 ( ^ω^)y=-「撃つお」 ζ*゚ー゚)ζ「撃つかもしれない」 ( ^ω^)y=-「撃つ」そのままエジェクターロッドをもたげて、「撃ってやる」  その瞬間に、ばちんともごきっとも聞こえる鈍い音が、僕の内部から響いてきた。上体が拳銃を中心に横回転し、拳銃が上体を中心に縦回転し、僕の側面は就寝時間を告げられたようにベッドの中へ深く埋められる。シーツが鉛のように固い。白の末端が赤黒く染まる。手から離れた拳銃が背後の壁にぶち当たり、ひしゃげた音を鳴らす。ずきずきと右肩が痛む。概念的な鉄の臭いと味。 ζ*゚ー゚)ζ「グレイ・グーって言葉があるわ。ナノ単位の大きさを持つ生命体や機械が、増殖の限界を忘れてこの世界を覆い尽くすって意味よ」 (###)ω^)「でもそうはならないお。何故なら、この世界には僕がいるから」壁から跳ね上がった拳銃が、僕の膝元にぽとりと落ちる。視線を上げて、空間に停滞する弾丸を認める。「やっぱりデレちゃんは、痛めつけはするけれどなんらかの理由で僕を殺せないんだお。ほんとは殺してしまいたいはずなのに」  僕は拳銃を手に取って、まだ弾丸が残っているのかを重さで確認する。デレちゃんをちらと見れば、彼女は歯を鳴らしていた。
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