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--11.嘘だろうが--
忘れてくれ…?
突然の発言に俺は驚いた。
何が忘れろだ。
真剣に悩んだ俺が馬鹿だったのかよ。
「…帰ってくれ」
「え?」
「頼むから帰ってくれよ!」
何を八つ当たりする必要があるんだろう。
逢沢は悪くない,踊らされて真剣に悩んでいた俺が悪いのに。
全て逢沢の所為にしてしまった,俺はなんて子供なんだろう。
「すまなかった」
そう一言だけ言って,逢沢は去ってしまった。
俺,なんて酷い事をしたんだろう。
家の入り口前で,罪悪感を感じた。
逢沢の背中が遠くなっていく。
このままでいいのだろうか?
いや,駄目だ。
逢沢との関係もより一層こじれていくだろう。
そんなの…嫌だ。
ただのクラスメイトなのに何で俺はこんなに焦る?
どうなろうと関係ねぇのに。
もうわかんねぇよ,俺どうしたいんだよ?
「ごめんな」
この一言を言えばいいのに。
何を迷う必要があるんだよ。
気がつけば俺は走り出していた。
彼奴どんだけ歩くの早いんだよ…
追いつかない。
もう学校に着いたのだろうか?
暫く走っていると,歩く逢沢の姿を見つけた。
「逢沢!」
俺は彼を呼び止めた。
「何,佐藤」
ちょっと不機嫌そうだな…分かってた事だけど。
「え,と…さっきはごめん」
「口からで任せなんかじゃない?
ほんとに謝る気あるなら,今度俺とデートしてよ」
「え…あ…その,逢沢さん?」
「ほんとに謝る気あるならそれくらい容易い事だよね佐藤」
…そうですね。
「…ま,まぁ謝る気あるよ」
逢沢には逆らえない気がする。
弱み握られてるわけじゃないのに。
「なら,デートね。
日時は来週の日曜日で,行き先は俺が決めとく,予定空けておいてね頼んだよ佐藤」
もう完全に逢沢のペースになってる…
ほんと勘弁してくれよ。
逢沢はどんどん話を進めていく。
俺は放心状態で聞いていた。
来週の日曜日,波乱の予感。
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